コラム

2018/12/01ベトナムの日本食レストラン事情

国際本部  主任研究員篠宮 正義

仕事がらアジア圏に出張する機会が多いが、最近はベトナムのホーチミンを訪れる機会が多い。海外出張では、食も一つの楽しみであり、比較的薄味で、主食がコメであることから、日本人の口にあうベトナム料理は毎食食べても飽きないが、チームで食事に出るときや、現地の日本人の駐在員の方やベトナム人と食事をするときには、日本食を食すことも多い。少し前までは、ベトナムの日本食レストランといえば、もちろん本格的な日本食を提供するレストランもあったが、どちらかといえば、日本食「風」レストランが多かった印象であるが、ここに数年は急速に本格的な日本食レストランが増えており、特に近年は、日本のレストランチェーンも多く進出している印象を受ける。実際に食べてみても、一部現地向けにアレンジした料理や味付けはあるものの、日本で食べるものと変わりなく、店員と利用者の方にベトナム人が多いこと以外は、ベトナムにいることを忘れるといっても過言ではない。

ベトナムでの日本食レストランの一例(写真)執筆者撮影

現在ベトナムの日本食レストランは1,000店舗以上あるともいわれているが、近隣のタイの3,000店(JETRO調べ)には遠く及ばない。しかしながら、一人当たりの名目GDP(2017年、IMF推計)で見れば、タイの6,591US$に比べ、ベトナムは2,353US$と3倍近くの開きがあり、タイの日本食レストランが1,000店舗を超えた2009年の、タイの一人当たりGDPは3,978US$であったことを考えると、経済状況・所得状況に比べ、タイに比べてベトナムの日本食レストランの展開スピードは速いと言える。
今後ベトナムの日本食レストランがどの程度のスピードで増加していくかはなかなか判断が難しいが、こうしたソフト面での日本文化の浸透がベトナムで進み、経済面だけではない、日本・ベトナムの連携強化、友好促進が進むことを強く願っている。

バックナンバーはこちら
page top