コラム

2017/05/01機内食再考

ソリューション本部 ソリューション部 副主任研究員間中 敬子

近年、訪日外国人旅行者数が大幅に増加し(2016年は2,400万人、前年比2割増)、インバウンドという単語もすっかり定着した。
新語・流行語大賞でも、2012年(トップテン)の「LCC」、2015年(年間大賞)の「爆買い」と、旅行、観光関係のキーワードが入賞している。
経済状況や周辺国との関係(悪化)、テロなどにより増減はあるものの、アウトバウンド(出国日本人数)も堅調である。

私も業務上、観光や旅行関係のサイトを見る機会も多く、プライベートでも年に1~2回は海外旅行でリフレッシュをし、英気を養っている(といっても近隣アジアが中心である)。

さて皆さん「機内食」というとどういうイメージをお持ちだろうか。
一昔前よりは随分マシになったものの、美味しいから旅の楽しみにしている、という人は少なく、消去法で「コッチ」と選ぶモノという印象ではないだろうか。

それが、LCCとの差別化なのか、時代の変化か、いつの間にかいろいろと進化/深化しているのである。

まずは、「チキンorビーフ」と聞かれて「チ、チキン…」とたどたどしく答える機会が減った。
A定食/B定食よろしく、分かりやすい写真付きのボードを見せられ、指さし可能なスタイルが登場したのである。言葉のハンデがあっても、苦手な食材があっても一目瞭然な変化に最初見たときは大変感動した。
(ex)ANA成田サンノゼ便2017年3-5月のメニュー
https://www.ana.co.jp/int/inflight/guide/pdf/201703/nrt_sjc_y_201703_m.pdf

2つ目に、スターシェフとのコラボなど、特色を出したメニューの登場である。
というお話をすると「どうせビジネス/ファーストクラスの話でしょ。結局のところ関係ないわ。」と思われる方も多いことだろう。
私もこれまでこの手のニュースを見ては期待して、詳細を読んでがっくり…という経験が何度もあった。
ところが最近はエコノミークラスの皆様(笑)にもようやく光が当たってきたのだ。

本邦2社のエコノミークラス機内食だけで見ても
<JAL>
http://www.jal.co.jp/inter/service/economy/meal/
路線別にフードスタイリスト監修のこだわりメニュー、北海道をテーマにしたシリーズ(北海道で人気の銘菓付)、「スープストックトーキョー」や「資生堂パーラー」とのコラボメニュー

<ANA>
http://www.ana.co.jp/serviceinfo/international/inflight/guide/y/meal/
「THE CONNOISSEURS」と称した世界の著名なシェフなど+ANAシェフチームによる機内食。
「機内食総選挙」でお客様投票上位メニューを中心にラインナップ、「茅乃舎」と共同開発した野菜スープ、従来ビジネスクラス以上で提供していた天然酵母の自社製パン提供、オリジナルのブレンドコーヒー、柑橘系ドリンク
と、聞くだけで美味しそうな内容である。
(従前から注力されていたビジネスクラス以上については、更にこだわっているのは言うまでもない。)

これだけで旅に出るにはまだ早い!!

3つ目に、特別機内食をご紹介したい。
特別機内食(スペシャルミール)というと、宗教的に牛肉や豚肉が食べられないとか、赤ちゃんや小さな子どもだけが頼むもので、大抵の方は気に留めることもないと思う。
ところが、こちらも旅行者の多様化に応じて進化/深化しているのである。

<JAL>
http://www.jal.co.jp/inter/service/meal/special/menu/
離乳食(生後0~8か月)、幼児食(生後9か月~2歳未満)、チャイルドミール(2歳~12歳未満)、ベジタリアンミール4種、アレルギー対応食3種(7品目、27品目除去の大人向け、27品目除去のベビーミール)、宗教対応食5種(ヒンズー教ベジタリアン、ヒンズー教、ユダヤ教、イスラム教、ジャイナ教ベジタリアン)、低脂肪、低塩分、低カロリー、低グルテン、低乳糖といった特定の物を制限したメニュー、胃の負担が少ない消化のよいお食事、シーフード(肉ではなく魚・シーフード)、フルーツ(フルーツのみ)

<ANA>
http://www.ana.co.jp/international/departure/inflight/spmeal/
ベビーミール(0~1歳まで)、チャイルドミール(2~5歳まで)、アレルゲン対応食3種(JAL同様)、ベジタリアンミール5種(ヒンズー教ベジタリアン含む)、宗教対応食4種(ヒンズー教、イスラム教、ユダヤ教、ジャイナ教)、糖尿病対応、低塩分、低脂肪、低カロリー、ブランド(胃腸疾患向けの消化のよいお食事)、グルテンフレンドリー、低乳糖、フルーツ、シーフード
とお子様からお年寄りまでのバラエティに富んだラインナップなのである

アレルギーや宗教食以外はホームページからリクエストできるものが多いので、気になった方は是非チェックしていただき、次回は「チキンorビーフ」の2択ではない旅の楽しみの一つにしてほしい。

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