コラム

2017/10/01Viva / Forza

ソリューション本部  研究主幹分部 隆夫

 

コラムも何年振りかになり、思い起こすと前回は2010年、羽田空港の新国際ターミナル開業直前の時期の話を書いていましたが、早いものであれからもう7年が経っており、2020年も目の前です。
4年に1度、毎回この時期になると、(翌年の冬季五輪もありますが)サッカーW杯の予選が各地で大詰めになります。欧州予選では、本大会へのストレートインは各グループの1位のみで、2位はプレーオフに回りますが、そんな中で先日、スペイン-イタリアの直接対決がありました。W杯での優勝回数はイタリアが4回で、2010年に初めて頂点に立ったスペインを上回りますが、近年はスペインの時代が続き、それに実質終止符を打ったのが昨年のイタリアという因縁も加わり、なかなか面白い試合になりました。

天国への帰還(イタリア):
試合会場は、マドリード市内のサンチャゴ・ベルナベウで収容人数は約8万人、ここは「白」の愛称で親しまれるマドリードの名門クラブの本拠地として知られていますが、サッカーのイタリア代表にとっては、かつて世界一を経験した場所でもあります。
1982年、日本では「東北新幹線開通」「アイドルの当たり年」として記憶されている方も多いかもしれませんが、この年スペインでサッカーW杯が開催され、開催国のスペインは期待には応えられませんでしたが、イタリア代表は、元日本代表監督のジーコを含むスター選手4人を中盤に揃えたブラジル、マラドーナがW杯デビューとなったアルゼンチンの両国を下し、ベルナベウで行われた決勝では西ドイツ(当時)を3-1で破り3度目の優勝を達成しています。イタリア代表が当地で試合を行うのは以来35年ぶりになりました。

私たちはスペイン、偉大な家族(スペイン):
スペインという国は歴史的な背景もあり、なかなか1つにまとまりにくいとはよく聞きます。代表戦は必ずしも多くの集客を見込めるとは限らず、比較的小さな会場が選ばれることも多く、代表の公式戦でこのベルナベウが会場に選ばれるのは8年ぶりでした。ここを本拠とするクラブはある意味「マドリードの象徴」とも言え、普段はバルセロナへの容赦ないブーイングも当たり前のようにあります。
しかしながら、近年は代表が国際大会で勝ち続けたこともあり、少しは変わりつつあるような気もします。気のせいかもしれませんが、試合前に(カステジャーノ、カタランではなく)「私はスペイン人」のチャントをよく耳にするようになりました。国内での対立はまだあるものの、代表戦はそれなりに特別なものなのかもしれません。

当日は各座席に国旗が準備され、普段は白に染まるスタンドもナショナルカラーの赤で埋め尽くされ、それはそれで非常に素晴らしい雰囲気でした。昨年の欧州選手権では、スペインはイタリア相手にほぼ完敗で、以来W杯予選では2度目となった今回の対戦ですが、「1年でこんなに変わるか」というほどの内容でした。イタリアの効果的なカウンターもありましたが、スペインが終始攻勢で、非常に盛り上がりました(スタメンはマドリードとバルセロナからほぼ同数)。ハードとソフトは一体になってより価値が高まるのだと改めて感じます。8月末、日本の埼玉(オーストラリア戦)でも、素晴らしい雰囲気がありました。

マドリードでのスペイン-イタリア戦の前日、21歳以下代表による両国の対戦(親善試合)がありました。2020年の東京に向けて世界は動き出しています。2018年のロシアだけでなく、2019年のラグビーW杯、2020年の夏季五輪も楽しみにしたいと思います。

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